とあるお兄さんの雑記

基本的に技術系の内容を書きますが、何を書くかは私の気分です。

統計学における基礎的な用語集vol.7~確率に入る前の用語~

次回あたりから確率に関連する話が出てきますが、今回はそれの基本となる用語について説明します。説明しますとか言いながら、用語の意味を書いているだけで説明しているかどうかと言われたらしてないような気がしますが…。

試行

試行とは結果が予想通りになるかどうか、実験や観察を行い試すこと

例えば、サイコロを1回投げる、コインを1回投げるなど実験を行っただけで、結果については特に言及されていないもの、と考えればよいかと思います。

事象

試行によって起こった結果のこと。

先ほどの試行でサイコロを1回投げた結果、1の目が出たとします。この「1の目が出たこと」が事象にあたります。つまり、結果ですね。

全事象

起こりうるすべての事象をまとめたもの。

サイコロの場合、 \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}の6つです。一方、表裏の2つしかないコインの場合、\{表, 裏\}になります。要は、起こり得るすべての結果を書き出したものが全事象にあたります。

複合事象

分解可能な事象のことを指します。

例えば、サイコロの偶数の目といえば、\{2, 4, 6\}になります。これは、さらに「2の目が出る」事象、「4の目が出る」事象、「6の目が出る」事象のように分解できます。この時の\{2, 4, 6\}が複合事象です。

根元事象

これ以上分解することのできない事象のことを指します。

先ほど複合事象の例で、事象をそれぞれ分解しました。その時の「2の目が出る」事象、「4の目が出る」事象、「6の目が出る」事象が根元事象にあたります。

余事象

ある事象に対する、それ以外の事象のことです。数学的に書くとある事象を Aとした場合、余事象は

 A^{c}

と書けます。

コインの \{表\}の余事象は\{裏\}、サイコロの\{ 1\}の余事象は \{2, 3, 4,5, 6\}です。サイコロの偶数の目の余事象は、サイコロの奇数の目です。

ちなみに、 A A^{c}の事象をすべてまとめると全事象 {(\Omega)}になります。

 \Omega = A + A^{c}

空事象

存在しない事象のこと。事象が存在しないので空です。 \varnothingで表します。

排反事象

事象 Aと事象 Bがあり、これらが同時に起こらない事象のことを指します。

サイコロの偶数の目が出る事象を A、奇数の目が出る事象を Bとします。サイコロを1回投げたときに、事象 Aと事象 Bが同時に起こることはありません。これを数学的に書くと、

 A \cap B = \varnothing

となります。

和事象

事象 Aまたは事象 Bが起こる事象のこと。事象 Aの要素と事象 Bの要素をすべて足し合わせたもので、 A \cup Bで表します。
ここでいう足し合わせるとは、数学的な足し算ではありません。

サイコロの目が2の倍数である事象を A、サイコロの目が3の倍数である事象を Bとしたとき、

 A \cup B = \{2, 3, 4, 6\}

となります。

積事象

事象 Aと事象 Bが同時に起こる事象のこと。

 A \cap Bで表します。

サイコロの目が2の倍数である事象を A、サイコロの目が3の倍数である事象を Bとしたとき、

 A \cap B = \{6\}

となります。

まとめ

確率を学習する前に知っていた方が良い用語についてまとめました。技術書などでは目次前などでよく目にするかと思います。以下、まとめです。

用語 意味
試行 実験や観察を行い試すこと
事象 試行によって起こった結果
全事象 起こりうるすべての事象
複合事象 分解可能な事象
根元事象 それ以上分解できない事象
余事象 ある事象に対する、それ以外の事象
空事象 存在しない事象
排反事象 事象Aと事象B同時に起こらない事象
和事象 事象 Aまたは事象 Bが起こる事象
積事象 事象 Aと事象 Bが同時に起こる事象