前回の記事は、母分散が既知の場合の母平均の信頼区間を求めました。今回の記事は母分散が未知の場合の信頼区間を求めてみます。
しかし、実際の現場とかで、母平均を求めることってあるんでしょうか?母平均の信頼区間を求めるなんて、学生の統計学の試験か、統計検定ぐらいでしょうか?
母分散未知の場合の求め方は?
母分散が既知の場合、標準化を行うことで、標準正規分布を使って求めることができました。
しかし、母分散が未知の場合、標準化を行う際の分散が分からないため、標準化ができません。そこで母分散が分からない代わりに、不偏分散を用いて区間推定を行います。また、不偏分散を使って区間推定を行う場合、分布を使います。
平均、不偏分散の正規分布に従う母集団から抽出したサンプルサイズの標本を使って算出される統計量の値は自由度の分布に従います。よって、母分散が不明な場合の区間推定は、分布を使って行います。
コラム:t分布の性質
まぁ、ここは本筋(母分散が未知の場合の信頼区間を求める)とは外れるので、あまり深追いしなくていいですし、どちらかというと、統計Web 20-1. 標本とt分布の記事の丸パクリなので、無視でいいっちゃいいんですよね...。
自分のために書いていきますが...。
(正直、この辺りは専門家の方や、大学で真面目に勉強している理数系の学生の方が詳しい気がしますね...。)
t分布の成り立ち
標準正規分布に従うと自由度のカイ二乗分布があり、これらが互いに独立であるとき、次の式から算出されるは自由度の分布に従います。
ここで、正規分布に従う母集団から抽出したサンプルサイズの標本を考える。
定義から、は標準正規分布に、は自由度のカイ二乗分布に従う。これらを自由度とした時、上式に当てはめると、
ここで、は不偏分散で、は自由度の分布に従う。
分からなくていいです。私も分からないので。
(じゃあ、記事に書くなって話ではあるんですが。)
t分布の期待値と分散
確率変数が自由度の分布にしたがっているとき、の期待値と分散は次のようになる。
母平均の信頼区間の求め方〜母分散未知〜
手順として大きく4つになります。
- 標本平均と不偏分散を求める。
- 統計量を計算する。
- 2で算出された統計量が分布の100の面積の範囲にあれば良い。
- 100信頼区間を求める。
順に見ていきます。
1. 標本平均と不偏分散を求める
2. 統計量を計算する
は母平均ですね。母平均の信頼区間を求めたいので、正確には上の式は求められません。
3. 2で算出された統計量を計算する
ここで、自由度はであることに注意する必要があります。
分布表でググると以下の記事がヒットしたので、こちらを参考にします。いや、統計Webさまさま。
ここで、をで置き換えるとして、統計量は以下の範囲にあれば良いことになります。
ここで、のとなっているのは、前回と同じで、両側検定をするためです。
仮に信頼区間として求めるなら、上の記事からがの列を見れば良いです。(2倍すれば、つまり)
さて、に2で求めた統計量を代入します。
4. 信頼区間を求める
の信頼区間を求めます。手順3で見たように信頼区間であれば、分布表のがの列を見れば良いです。
また、サンプルサイズはですが、自由度はとなります。分布表でみる場合は、自由度を参考にするのでの行をみるように注意しましょう。
さて、本題のの信頼区間を求めてみましょう。の幅を求めりゃいいので、
あとは、計算するだけで求まりますね。お疲れ様でした。
区間推定の特徴(母分散未知の場合)
信頼区間の幅は、
信頼係数が小さいときほど、
また
サンプルサイズが大きいほど
狭くなります。
この特徴ですが、母分散既知の場合と変わりません。
まとめ
今回の記事のまとめです。
~母分散未知の母平均の信頼区間の手順~
- 標本平均と不偏分散を求める。
- 統計量を計算する。
- 2で算出された統計量が分布の100の面積の範囲にあれば良い。
- 100信頼区間を求める。
~信頼区間の特徴~
信頼係数が小さいほど、また、サンプルサイズが大きいほど狭くなる
コラム:標準正規分布表の面積に注意?
前回と今回続けて、信頼区間の話でした。
信頼区間を求める際に非常に重要な役割をになっている標準正規分布表ですが、参考にする記事や書籍によっては求めている範囲が違うなんてことがあります。
たとえば、以下の記事では、〜までの面積(確率)を求めている標準正規分布表を参考にしています。
一方、以下の記事では、〜までの面積(確率)を求めている標準正規分布表を紹介しています。
もし、統計検定の試験や大学の統計学の試験などで、普段と見慣れない標準正規分布表が出てきたとしても、本質としては変わらないので焦らずに求めるようにしましょう。
社会に出たら統計解析向けのR言語のライブラリやPythonのライブラリが求めてくれるので、あんまり気にしなくていいと思います。(とは言っても、どうやって見れば良いかを知っておくのは大事ですよ。)