とあるお兄さんの雑記

基本的に技術系の内容を書きますが、何を書くかは私の気分です。

統計学基礎vol.41~検定~

今回は検定のお話です。検定というと両側検定と片側検定がありますが、基本は両側検定しか見ないかと思います。

両側検定

帰無仮説 H_0:\mu_A = \mu_B、対立仮説が H_1:\mu_A \neq \mu_Bである時に行う検定のこと。

片側検定

帰無仮説 H_0:\mu_A = \mu_B、対立仮説が H_1:\mu_A > \mu_B、または H_1:\mu_A <  \mu_Bである時に行う検定のこと。
一方の群に対して大小関係が予想できる場合に用いることができる。

両側検定と片側検定の違い

例を示しながら解説します。

薬Aに含まれる成分Bについて調べる。Aからランダムに25粒を抜き取り、成分Bの量を測定した結果、 \bar{x} = 98mg s ^2 = 1だった。

この時、帰無仮説 H_0を以下のように考えます。

 H_0:Aの中の成分Bの含有量は100mgである。

このように帰無仮説 H_0を考えた場合の対立仮説 H_1

  1. 薬Aの中のBの含有量は100mgではない
  2. 薬Aの中のBの含有量は100mgより多い
  3. 薬Aの中のBの含有量は100mgより少ない

となります。ここで、

  1. はBの含有量が100mgかどうかを調べる検定
  2. はBの含有量が100mgより多いかどうかを調べる検定で、Bの含有量が100mgより少ないかどうかは考えない
  3. はBの含有量が100mgより少ないかどうかを調べる検定で、Bの含有量が100mgより多いかどうかは考えない

1は両側検定、2、3は片側検定となります。

両側検定では棄却域が分布の両端にあります。つまり、成分Bの含有量が100mgよりも極端に大きくなった時と小さくなった場合に帰無仮説 H_0は棄却されます。
一方、片側検定では棄却域が片方にしかありません。つまり、成分Bの含有量が100mgよりも極端に多い(少ない)場合にだけ帰無仮説 H_0は棄却されます。逆に成分Bの含有量が100mgよりもどれだけ少なく(多く)なったとしても帰無仮説 H_0は棄却されません。

また、この内容からもわかるように両側検定と片側検定では、両側検定の方が厳しい条件になります。

下図は有意水準 5\% 0.05 > Pの時に有意)とした場合の両側検定と片側検定 f:id:kurasher:20211221052146j:plain

検定を行う際の注意点

統計的仮説検定では、効果や差の有無を検証することは可能です。しかし、効果の大きさや差の大きさについて具体的に知ることはできません。 つまり、仮説検定の結果、「AよりもBの方が効果がある」ということは言えても、「AよりもBの方が10倍以上効果がある」などということは言えません。

まとめ

用語 意味
両側検定 帰無仮説 H_0:\mu_A = \mu_B、対立仮説が H_1:\mu_A \neq \mu_Bである時に行う検定
片側検定 帰無仮説 H_0:\mu_A = \mu_B、対立仮説が H_1:\mu_A > \mu_B、または H_1:\mu_A <  \mu_Bである時に行う検定
検定を行う際の注意点 効果や差の有無を検証することは可能。しかし、効果の大きさや差の大きさについては不明