今回の記事は分散です。期待値と同じくらい重要ですので、頑張っていきましょう。
分散とは
それぞれのデータと期待値との差を2乗したものの平均のこと。
分散の求め方:離散型
ここでは、分散の求め方を見てみます。以降が出てきますが、のことです。以降も同じ意味で出てきます。
分散の求め方:連続型
分散の求め方:共通
上記2つの式は分散を求める式です。しかし、何かの式と似ていませんか?前回の期待値を求める式と見比べてみましょう。
離散型の期待値を求める式↓
連続型の期待値を求める式↓
どうやら、期待値でを掛けていた部分が、分散ではを掛けているようです。となると、は次のようにも書けますね。
(のため、 とも書けます。どちらを使うかはお好みです。)
この式は、離散型の分布でも連続型の分布でも成り立ちます。
ついでですので、上の式を展開してみましょう。
ここで、期待値の性質2のと期待値の性質4 のを使うと、
与式
とできます。さらに、は変数ですが、は期待値を表すため定数です(もちろんも定数)。ということは、期待値の性質1のが使えます。ついでなので、期待値の性質3のも使うと、
与式
とできます。ここで、と定義していましたので、
与式
(または、)
となります。これが分散を求める式を展開した結果です。この展開は知っておいて損はないかと思います。
※注意 とは似ているようで、全く違います。連続型の式で表すと、
となります。気を付けましょう。
分散の性質
、 として、
4.
順に見てみましょう。
性質1
これは何を表しているかというと、定数の分散は0ということを意味しています。
今回は平均の分布で適当な定数を考えてみます。この時の分散を計算すると、
となります。言ってしまえば一つの定数しか出ないのですから、分散が0より大きいことはないはずです。
性質2
分散の定義から考えてみましょう。
となりましたね。
この性質2が何を言っているかというと、分散を平行移動しても変わらないということです。分散は平均からのずれを表しているので、平行移動しても変わらないのは考えてみれば当たり前ですね。
性質3
分散の定義式から求めます。
この性質は、定数倍すれば分散は定数の2乗倍されるという物です(そのまんま)。
性質4
例によって、分散の定義式から。
求まりましたね。
その他の特徴
さて、性質4においては追加で重要な特徴があります。
式の最後に出てきたですが、これは共分散と呼ばれます。
ちなみに、の時、
となります。
また、確率変数とが独立であるとき、
となります。
加えて、
となります。ついでで覚えておきましょう。
まとめ
今回は分散の性質についてまとめました。以下、まとめです。
用語 | 意味 |
---|---|
分散 | それぞれのデータと期待値との差を2乗したものの平均 |
分散の性質1 | |
分散の性質2 | |
分散の性質3 | |
分散の性質4 | |
その他 | |
確率変数とが独立 | |
共分散 | |
分散の性質4(共分散) | |
分散の性質4(共分散) |